『EP1を読む』
船は低いエンジン音を響かせながら、港に接岸した。
中から降りてきた係りのオジサンに乗船券を渡して乗り込む。
<船に乗るなんていつ以来だろう・・・>
と僕は記憶をたどった。<桜島へ渡ったとき以来、2年ぶりか・・・>
さて、どの座席に腰を下ろそうか、
迷っているあいだに船は早くも発進した。
普段、船に乗る機会なんてあまりないのに、
船内に閉じこもっているのは勿体ない気がして、甲板に出る。
乗船した盛港が急速に遠ざかっていく。
周りにはいくつかの島が見えるけれど、目指す大久野島がどれであるのか、僕にはわからない。
<どの島にいるんだろう・・・>
と僕は濃い青色の海に浮かぶ島々を眺めながら思った。
<ついに、もうすぐ会えるんだな・・・>
大久野島、通称・・・「ウサギ島」
島中、ウサギだらけだという、ウサギ島。
僕は動物が好きだ。ウサギが好きだ。
僕は数年前から、ずっとウサギ島に行ってみたかった。
ウサギへの想いをめぐらせながら、船内を観察したり、
瀬戸内海の景色を眺めたりしているあいだに、13分間の短い船旅は終わった。
船は機敏な動きで素早く、大久野島の港に接岸する。
<やっと来れた・・・>
船を降りながらそう思った。けれども何か実感が沸かない。
やっと来れた憧れの地なのに・・・。
島の中にあるホテルまで無料送迎してくれるバスがあった。
しかし一緒に船から降りてきた他のお客さんたちは、皆、バスに乗らずに歩いて島の奥に向かっている。
大抵歩くものなのか・・・と僕も歩くことにした。
数秒歩くと!早速!
第1ウサギ発見・・・!
<カワイイ・・・!>
僕は凄まじく興奮して鼻息荒くカメラのシャッターを切りまくった。
さらに!第2ウサギも発見!
<やーん!ホントにいっぱいおるー!>
また僕はカメラを向ける!もう止められない!この胸の高鳴り!止められない!
夢中でウサギをファインダー越しに追い続けていると、ウサギのほうから寄ってくる!
ふぎゃぁぁぁ!しゅごーい!
チュッ!チュッ!しにきてくれたー!
ありがとうございます・・・!
大サービス!ありがとうございます・・・!
僕はどんな映画を観たときよりも感動しながら、島の奥へ歩いた。
(続く・・・!)
※ 次回!必見!カワイイ画像満載!次回はみんなで萌える回だよ!
『EP3を読む』