『第8話-1を読む』
本日2連続更新です。
続けて読みやすくするために
「第8話-1」をあとから更新しています。
直接名前を訊いたわけではない。
しかし誰が見ても目の前にいる婦人が、
チズコおばちゃんだ。
「そこにある紙に書いてある順番に、
してちょぉーーだいっ!」
ユニークな口調でそう言う、
チズコおばちゃん。
『食べ方注文♪』
と、可愛らしく書かれた紙が
カウンターに置かれている。
どうやらこの通りにすれば良いようだ。
1番から順に言ってくれる。
お母さんが。
メニューはシンプル。
(かけ)出汁で食べるか、醤油で食べるか。
あとは麺の「温」「冷」を選ぶのみ。
1玉200円。
代金はカウンターの上の皿に入れる。
代金入れも、可愛い。
入口のノートに、
「どこから何人で来たかを書いてくれ」
と言われ、記入。
「高知・4人」
それを見た、チズコおばちゃん。
「高知!行ったことある!
カァーツオが美味しいねぇー♪」
と言ってくれる。
ありがたい。
冷たい麺で
「醤油」にした竜一。
器に麺を入れてもらった。
次にハサミを使い、
ネギを自分で刻む。
なんだか楽しい。
ゾクゾクする。
そして最後に……!
醤油を回しかけ……!
飛び出せ………!
外界へっ…!!!
つまり、お外で食べる。
軒先に設けられた飲食スペース。
お父さんが笑っている。
お母さんも笑っている。
嫁も、みんな笑っている。
竜一も、笑った。
みんな笑顔でうどんを食べる。
降りしきる雨がボトボトと天井を叩く。
みんな笑っている。
ありがとう!
チズコおばちゃん!
(つづく)
『第9話-1を読む』
◆ 赤坂製麺所
(香川県綾歌郡綾川町陶5781-6)
営業時間/8:00~15:00
(土、日、祝は17:00まで。麺切れで終了)
定休日/水曜日
営業形態/セルフ
駐車場/7台