高知市介良(けら)にある『王様の島』という居酒屋が、火曜日から金曜日までの毎週四日間限定で、昼間にラーメンを提供し始めたと聞いた。その名も『王様ラーメン』。高知の生姜王としては、当然食べておかなければならない。
実際に食べた人たちの評判はすこぶる良く、皆一様に「美味しかった」と満足げにインターネット上に感想を載せていた。ますます興味が湧く。食べてみたい。
一度目の挑戦は十月二日だった。午後二時前に行くと、店先に二台分しかない駐車場がガラ空きだった。ラッキー!なんて停めようとすると、出入口の戸に『準備中』だったか何だったか、とにかくもう昼営業は終了したよ、と知らせる札がかけられていた。そりゃあ駐車場が空いているわけだ。
二度目の挑戦はそれから約二週間後。午後二時前では遅すぎるとわかったので、今度は正午前に行った。この時間なら売り切れはないだろう。だが思った通り、駐車場は満車。店の前を数往復して様子をうかがう。
長年の食べ歩きで駐車場が少ない店パティーンには慣れている。しばらくすると駐車場に停まっていた一台の車が発進した。すかさずそのスペースに進入。駐車場の奪還に成功した。
しかし王様にはなかなか会えない。店に入ると満席で、少し待つように言われた。王様、大人気だ。
店先に用意された椅子に座って十分ほど待っていると、王様との面会を終えた者たちが出てきた。これで入れる。ようやく王様の姿を見ることができそうだ。
カウンター数席とテーブル席で構成される、それほど広くはない店内は、たくさんの客で賑わっている。
メニューはシンプルで、ラーメンは『醤油』と『にんにく』と『しょうが』と『チャーシュー』のみ。あとはスープを『こってり』にするか『あっさり』にするかが選べる。
生姜王は当然『しょうが』を頼むと誰しもが思うところだろうが、あえて普通の『醤油』にした。まずは基本の…なんて通ぶった考えがあったわけではない。ただ単に生姜って気分ではなかったのだ。酪農家でも、今日は肉より魚だって気分のときがあるだろう。そういうものだ。
まずは『醤油』の"こってり"が来た。スープに大量の背脂が浮かんでいる。
「これが王様ラーメンか」ずずっと食べる。
なるほど、みんなが美味しいと口を揃えるわけだ。事実、私も食べた瞬間、「おお、美味しい」と口走ってしまった。
いろんな出汁がスープの中に出ていて、欠点がないような、まとまった味をしている。余程変わった人以外、不味いとは感じないスープなのではないだろうか。
続いて『醤油』の"あっさり"。
食べて驚いた。味が"こってり"とまったく違う。同じ『醤油』なのにもかかわらずだ。
「この違いって背脂を入れたか入れていないか、それだけ?それだけでこんなに味が変わるの?」あるいは、違いは背脂の有無だけではないのだろうか。いずれにせよ、まったく味が違う。
当たり前だが、こってり味が好きな人は"こってり"にしたほうが絶対にいいし、あっさり味が好きな人は"あっさり"にしたほうがいい。この選択は非常に重要だ。両者は同じ醤油でも別物なのだから。
食べているあいだも、ひっきりなしに客が出入りする人気の王様。みんなわりと生姜ラーメンを注文してくれている。生姜ラーメンの注文率はかなり高い。生姜ラーメンがあるのを知りつつ生姜ラーメンを食べない生姜王は、何だか嬉しかった。
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所在地/高知県高知市介良乙3026-1(地図)
営業時間/11:00~15:00(昼営業の時間です)
定休日/日曜日
駐車場/4台(店先に2台、店舗向かって右側の駐車場に2台分)
■カウンター席/有 ■テーブル席/有(4人がけ2卓) ■座敷/有(1卓)