周囲を住宅や田んぼに囲まれた製麺所『穴吹製麺所』。
創業は昭和30年頃といわれ、平成29年(2017年)の現在より数えて、60年以上前……なんと半世紀以上前から存在する計算になる。
香川・高松市有数の"穴場店"としても知られ、ナビなしでたどり着くことは非常に困難なお店である。
おそらくナビがあったとしても、初めてだと「え?こんなことろにお店があるの?」と疑心暗鬼してしまう可能性が高いが、角を曲がって青色のテントが見えてくれば正解だ。
穴吹製麺所の店内
穴吹製麺所はうどん屋ではない。製麺所である。
元々、讃岐の製麺所でうどんを食べる文化は、卸し専門であった製麺所のうどんを食べたいという客の要望に応えて始まったと聞くが、穴吹製麺所の店内もうどん店の仕様ではない。
製麺所の片隅に置かれたテーブル。並べられた椅子は8席ほど。
もちろんすぐに満席になる。
店内に座れない場合は、外で立って食べたり、しゃがんで食べたりする。
讃岐うどんの、製麺所の醍醐味が味わえるお店。
それが穴吹製麺所。
穴吹製麺所のメニュー
穴吹製麺所のメニューは、"超"が付くほどシンプル。
- うどん(小)1玉/130円
- うどん(大)2玉/260円
「天ぷらうどん」「肉うどん」……そういうのではなく、食べる玉数を伝えて、麺を温めるかどうかを決めるのみ。
釜揚げうどんは、釜揚げのタイミングに当たった場合にだけ食べられるとのこと。
オーソドックスな「かけうどん」にする場合は、テーブルに置いてある鍋にかけ出汁が入っているから、自分でお玉を使ってすくい、かける。
醤油をかけて「醤油うどん」にする場合は、同じくテーブルに置いてある醤油を勝手にかけて食べる。
カマボコやキツネ(油揚げ)をのせる場合も、自分で勝手に取るシステム。具材をのせた場合は追加料金がかかる、ゆえにちゃんと覚えておいて、あとで自己申告する。
ネギやおろし生姜など、好みの薬味を…これも自分でのせて完成。
生姜は自分でおろすんだよ!
穴吹製麺所のシステムをまとめます!
- うどんの玉数と、麺の温度「温」あるいは「冷」を注文する。
- 麺だけが入った器を渡してくれる。
- 食べたいように、出汁をかけたり、醤油をかけたりする。
- 好みの具材があればのせる。
- 薬味をのせる。
- 食べる。
- 食器を返却する。
- 食べたうどんの玉数と、取った具材があれば自己申告して会計する。
- 退店。
おおよその流れは、よくあるセルフうどん店と同じなのだけれど、会計が自己申告制であるのと、出汁が鍋に入っていたりする点が大きく違う。
まあ……
竜一さんみたいなコミュ障は誰かと行かないと、無理です。
うどん1玉(ぬくいん)
店に入って、製麺スペースと飲食スペースを仕切るカウンター付近に進むと、大将が「ぬくいん?ひやいん?」と聞いてくれる。「温かいうどんがいいか、冷たいうどんがいいか」という意味である。
「ぬくいん」と答えると、温かいうどんを提供してくれる。
▲ 鍋に入った出汁をかけて、かけうどんの完成。
出汁はかなり濃いめ。本来は少なめに入れて、ぶっかけうどんのようにして食べるのがよい模様。
製麺所の片隅のテーブル、並べられた椅子、乱雑に置かれた出汁の入った鍋や、薬味の入った容器。出入り口のガラスを通して射す日に、出汁から漂う湯気が照らされる。
そのすべてが、"味"であり、素敵だなぁ……と思う。
古くからうどん文化が根付いている、讃岐ならではの"製麺所のうどん"がいただける『穴吹製麺所』。
うどんは、うどんの味だけがすべてではない。それに気づかせてくれる製麺所である。
「穴吹製麺所」の所在地、営業時間、定休日、駐車場。
所在地/香川県高松市上林町752(地図)
営業時間/9:00~17:30(麺切れで終了)
定休日/不定休
駐車場/有
一人行きやすさ/○ 混雑時は外で食べられる。コミュ力は必要!
子連れ行きやすさ/○ 食べる場所が店内だけではないため、臨機応変な対応が可能