『前編を読む』
夏子さんちの「ばあば」が作った「チラシ寿司」に舌鼓を打って、
さらに焼酎を煽りながら誰かしらと話していると、
その「ばあば」の息子さん、「ダンナちゃん」が打ったうどんが釜揚げされ始めた。
ダンナちゃんが最近うどんを打っていることは、
夏子さんのブログで読んで知っていたのだけれど、実際に食べてみたことは一度も無い。
未知なる麺線、香り、食感、味。
彼が打ったうどんの中には、
間違いなく知らない世界が広がっているのだ。
初めて行った店のうどんを食べるみたいに、
期待、不安、嬉々、躊躇、心に様々な感情を入り混じらせながら、
器を手に持ち、玉取りされた麺を取りに行く。
ココは日常では食べることが出来ない、裏うどんを、
自分の好きな食べ方で食べることが出来る、桃源郷。
果たしてダンナちゃんのうどんを、
どういう食べ方で食べようか、内心迷った。
この局面でスグに出来そうなのは、
「かけ」か「ぶっかけ」か「釜玉」か「冷やかけ」か・・・。
私は「ぶっかけ」を選択した。
『ダンナちゃんうどん(ぶっかけ)』
「ぶっかけ」と言っても、
私は「醤油うどん」の醤油をかけるようにしか、ぶっかけ出汁をかけず、
麺本来の香りや味、そしてなにより「力」・・・「麺力」が露呈する状況を密かに作り上げた!
・・・と書いてはみたが、実際には、そんな大層な考えは無く、
"ただ単になんとなく"・・・という曖昧な動機で「ぶっかけ」にしただけで、
ぶっかけ出汁を少ししかかけない、それだっていつものこと。
つまり、いたって単純に、自分好みの食べ方をしたに過ぎなかった。
<本日3杯目の裏うどん・・・!
ありがたいなぁっ・・・!>
嬉々として食す。
すると想像よりも固めの弾力で、
低重心からバシバシと張り手をお見舞いしてくる!
<おおおっ・・・!
百烈張り手っっっ・・・!>
『中日ラーメン』
途中から登場したいっけんさんが、なにやら黄色い麺を湯掻き始めたので、おやおやと見ていると、
これは、新潟でうどん屋さんをされている方が拵えたという中華麺なのだと言う。
うどんのかけ出汁を注いで、いわゆる「中日」の状態で食す。
先に食べ始めていた皆さんが口々に絶賛していて、
本当にそんなに美味しいのか!と思いながら食べだら、本当にそんなに美味しかった!
細い中華麺だが、
これが圧倒的アルデンテ・・・!
「うまい!」「おいしい!」の言葉しか聞かれなくなった駐車場の片隅で、
私も「ほへぇー、おいしい・・・」などとボソッと呟いた。
『釜玉うどん』
途中から、えらくお腹が張ってきたな
と感じていたが、それもそのはずだった。
私は気が付けば、うどん3玉、中華麺1玉、チラシ寿司、夏子さんの手料理、
さらにはビール3本、どれだけ飲んだかわからない焼酎をチビリチビリと煽りながら、
気が付けば4玉目のうどん、「釜玉」を無意識に放り込んでいたのである。
皆さんが帰られたあと、
残ったのは、とうやくさんと、いっけんさんと、山雀さんと、私。
高知裏うどん界で有名な御三方に囲まれて、
急に高まる胸の鼓動と緊張感。
私はコップに入っていた焼酎を飲み干すと、
お茶に切り替えた。
日本の未来について、熱い議論を交わす御三方。
私は冷たいお茶を飲みながら、
ふむふむもっともだ!という表情で真剣に聞き入りながらも、
いっけんさんを見つめていた。
いっけんさんという人は、私がうどんに本格的に嵌り始めていた頃、
自身が書くブログに頻繁にうどんの記事を更新されていて、
そのブログを私は毎日食い入るように読んでいた。
いっけんさんは、私にとって、
当時も今も、カリスマで、アイドルだ。
私は、イチローや松井秀喜を前にした野球少年みたいに、
目をキラキラさせながら、いっけんさんを見つめていた・・・
・・・!が、酔いが回って、
いっけんさんが5人ぐらいいるようにも見えていた・・・。
【追伸】
妙にエンジンのかかり具合が悪くて、いつも以上に大人しかったかなという、
この日の竜一さんでしたが、皆様ありがとうございました。楽しかったです!
お土産に戴いたうどんは、
初挑戦!の「ナポリタンうどん」にしてみました。
イケました・・・!