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1泊目の宿を出た我々は、伊豆半島を南下。
あのマシュー・ペリーも黒船に乗ってやってきたという、下田市を目指す。
<ペリーは黒船・・・!
俺たちはレンタカーだ・・・!>
途中、歌手の石川さゆりさんの
「天城越え」という歌の中にも出てくる、
「浄蓮の滝」および「天城峠」に寄る。
道路わきに雪の残る山道を、
ズンズン上って到着。
『浄蓮の滝』
「歩かんといかんの?」
と出来るだけ歩きたくない私が訊くと、
オカンもわかっていない様子で言う。
「どうやろ・・・」
オビ=ワンは微笑している。
「歩かないかん?
そらぁ杖がいるが!」
行けばわかるさ!と、
数台の観光バスが停まる駐車場を横切って、山のほうへ歩く。
すると、下方に川があり、
コンクリートの長い階段が、
ずっと下のほうまで降りているのが見えた。
<これは・・・なかなか階段が長い・・・!
大丈夫かな・・・オバ=アはまだしも・・・!
オビ=ワンは冗談抜きに、杖が必要かもしれない・・・!>
それでもなんとかテクテク階段を降りて行くと、
途中に茶屋があった。
誰が見ても、茶屋。
茶屋の前では、
お婆さんが鮎(あゆ)を大きな七輪で焼いている。
「鮎があるで!」
と、その光景を見たオカンが見たままを言う。
「おぉぉ!鮎エエやん!」
と私は自分でもナゼかわからないほど、鮎に大感激した。
「食べる?」
とオカンは奢ってくれそうな勢いで、えらく私に鮎を薦める。
お婆さんもオカンに加勢。
「どうですか!
焼きたて!美味しいよ!」
本当は食べたかったけれど、
薦められると断りたくなる、妙な性格、発動。
「ま・・・まぁ・・・ええわ!」
と私は2人の鮎推しを断って、
さらに階段を下へ降りようとした。
・・・そのとき!
茶屋の壁に石ちゃん発見!
誰が見ても、石ちゃん!
「石ちゃん・・・!」
と私は憧れの彼の写真を前に呟いた。
「石ちゃん・・・!」
と遅れて歩いてきたオバ=アも、立ち止まって呟いた。
「石ちゃん・・・!」
とオカンも笑った。
みんな"石塚"ではなく、
"石ちゃん"と呼ぶ。
<あんたらも石ちゃん好きか・・・!>
と私は石ちゃんファンが意外と身近にいたことに驚いた。
「マイウー!」
とオバ=アは、石ちゃんの真似さえした。
だがオビ=ワンは、まったく興味がなさそうで、
石ちゃんの写真に見向きもしなかった。
長い階段をひたすら降りて、
ようやく到着。
浄蓮の滝!
「オカン!写真!
撮って!撮ってー!」
浄蓮の滝と!
記念撮影・・・!
浄蓮の滝は、ただただ「ドドドドドドド!」と、
ジョジョ立ちの背景に書かれている
謎の擬音(?)のような音を、けたたましく立てていた。
「撮ってくれや!」とオビ=ワンが言うので、
オバ=アとのツーショットも、オビ=ワン・カメラで撮ってあげた。
優しい孫である。
ワサビ畑。
浄蓮の滝のすぐ側には、
ワサビ畑があった。
<うわー!ワサビ畑・・・!
生で見るのは初めてだなぁ・・・!>
ワサビ本体も、滝の脇に
2~3軒あるお土産物屋さんで売られていた。
買おうかどうしようか、
かなり迷ったけれど、やめた。
滝、見学、
終了。
元来た階段を上がって、
また茶屋の前へ達す。
鮎を焼いている大きな七輪の前で立ち止まると、
奥からお婆さんが、さっきの茶髪がきた!とばかりに出てくる。
私は別れた恋人に、
もう一度付き合ってくれ!
と告白する乙女のように言った。
「やっぱり鮎・・・!
食べたいっ・・・!」
「なにぃ?食べるがかえ!」
とオカンが笑う。
「オラも食べるき、
買うてくれ・・・!」
とオビ=ワンも欲しがる。
オカンとオバ=アは要らないということで、
私とオビ=ワンの分だけ買った。
鮎。
旨いっ・・・!!
(※ 画像は竜一先生的にギリギリのラインです、笑)
頭からカジり付いて、
尻尾まで残さず食べた。
「この鮎!美味しいね!」
と私が言うと、オビ=ワンも頷く。
「おぅ!旨い!旨い!」
浄蓮の滝を堪能したあとは、
また坂をズンズン上って、天城峠を目指す。
運転しながら、
滝の感想を訊いてくるオカンに、私は答える。
「どうやったで!
浄蓮の滝は?」
「滝やったねぇ!」
途中、寄り道。
『森の駅 天城越え』
積雪、あり。
「なんでこんな所へ寄った?」
とオビ=ワンが真顔で言う。
ここは直前に私がオカンに、
「寄ってみよう!」と提案して寄ったので、
私としてはシッカリとした理由を答える必要があった。
「いや・・・なんとなく・・・
なんか面白いもの、あるかなぁーと思ってね!」
オビ=ワンは怪訝な表情を浮かべている。
私がシッカリとした理由をキチンと述べたにも関わらず、だ。
結局、お土産物を見たり、
駐車場の脇に積まれた雪を見て、終了。
天城峠へ。
運転するオカンが言う。
「竜一!ここが天城峠で・・・!
撮りや!撮りや!はよ写真撮り!
はよせんと!トンネル入る・・・!」
「えっ・・・!えっ・・・!?
なにっ!えっ!ちょっと待って!えっ・・・!?」
天城峠、
終了。
(第12話へ続く!)
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