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(*この記事は「金婚・鹿児島放浪記!」第8話です。前回の7話は↑のリンクから!1話から読む場合はコチラをクリック!⇒「1話から読む」)
朝、鹿児島市を発った一行は、昼には南九州市にある知覧!さらに薩摩半島をドンドンと南下していた・・・!
その車内、オカンが言う・・・!
「今日の夜は砂風呂やきねっ・・・!」
この旅の日程!殆どオカンが1人で組んでいるのだが、2日目夜の「砂風呂」!これに竜一!あまり乗り気ではない・・・!
<砂風呂とか、めんどくせぇ!俺はビール飲んで焼酎飲んで、うまいものが食えたらそれでいい!砂風呂なんか、どう考えても砂まみれになるだけ!砂まみれになって何が楽しいんだ・・・>
やがて、宿に着く・・・!
2日目に宿泊する旅館は、指宿市「月見荘」・・・!
ちなみに「指宿」と書いて「いぶすき」と読む!「ゆびやど」ではない・・・!
「月見荘」は2階建て!小さな宿だけれど、和風の造りは小奇麗・・・!
<渡辺篤史を連れてきたら、柱や壁を撫で回すこと確実・・・!>
部屋は2階らしいが、エレベーターは3人乗り!そこでオビ=ワンとオバ=ア、さらにオカンがエレベーターに乗り、部屋に案内してくれる仲居さんと、竜一が階段を上る・・・!
エレベーター遅い!仲居さんと竜一が2階に到達してから30秒ほど遅れて、やっと来た・・・!
遅いな貴様たち!30秒もあったら、ウサイン・ボルトなら100メートルを3回走れている計算だ・・・!
部屋の入口でオートロックについての説明を受けて入室!部屋は和室!やはり小奇麗・・・!
<渡辺篤史だったら必然!この畳をクンクンクンクン!嗅ぎまわるに違いないっ・・・!>
部屋の窓から覗くと、真ん前に噂の砂風呂施設が見える・・・!
あれが有名な「砂むし会館 砂楽(さらく)」・・・!
「砂風呂で、ゆっくり温まってきてくださいね!温まると、また夜のビールが美味しいですよっ!」
仲居さんのこの言葉に、竜一、強反応。
「なにっ!そうなのっ・・・!?」
竜一の中である種の妄想が始まる・・・!
<火照った体が急速に冷やされる!キンキンに冷えたビールで・・・!うぅ、うわぁ!どう考えてもそれは最高・・・!愉悦・・・!悶絶確定っ・・・!>
「よし!砂風呂いこう!」
あとのビールがうまいと聞いて、突然!砂風呂に乗り気になった竜一!「早く行こうぜ」と、皆の衆を引き連れて行く・・・!
『月見荘』の目の前にある『砂むし会館 砂楽』!受付で砂風呂用の浴衣を貰い、宿の浴衣からそれに着替える・・・!
浴衣の下は、全裸・・・!
そしてオビ=ワンと共に、砂むし会館の裏手にある、砂浜へ・・・!
堤防から、砂浜へ続く階段を下りる・・・!
砂浜の一角に設置されている屋根の下!そこで幾人もの老若男女が砂をかけられた状態で、仰向けに寝ている・・・!
ドキがムネムネ・・・!
初体験のことに、いささか緊張の色をにじませる竜一・・・!
そのとき先に着替え、浜に下りて来ていたオカンの声がする・・・!
「おーい!竜一ぃぃぃ・・・!」
などと満面の笑みを浮かべて、コチラに手を振るオカン・・・!
かたわらでは、若いニーチャンがスコップで砂をすくって、横たわるオカンの体の上に「ドサドサ」と浴びせかけている・・・!
なんだか滑稽で面白い・・・!
オカンの隣で砂をかけられているオバ=アは、緊張の面持ち!表情が固まっている・・・!
その後、竜一とオビ=ワンも寝そべって、ニーチャンに砂をかけてもらう・・・!
<砂が温かいっ・・・!>
「熱くなったら砂を崩してくださいね!目安は10分!くれぐれも無理はしないでくださいね・・・!」
事故防止のためだろうか!砂をかけながら「とにかく無理をするな」という旨を、皆に何度も伝えるニーチャン・・・!
しかし竜一はこのとき、まったく別のビジョンを描いていた・・・!
<何を言っているんだ!俺は限界までいくぜっ・・・!>
我が身を極限まで温めて・・・!
夜のビールをド級の旨さで飲みおおすっ・・・!
砂に埋まって5分ほどが経った頃・・・!
<足のくるぶし辺りにある血管が、「ドクンッ!ドクンッ!」と大きく脈を打ち始めた!すげぇ・・・砂むしパワー!体の芯はもちろん、血液まで温まってきた・・・!>
沸くっ!沸き立つ・・・!
沸き上がって煮えたぎる血液っ・・・!
<気持ちいい・・・!>
気持ちいい・・・!
気持ちいいっ・・・!
砂風呂!気持ちいいっ・・・!
砂に埋まって、10分が経過・・・!
「うーん・・・うーん・・・!」
竜一の隣で埋まっている、オビ=ワンが唸る・・・!
<大丈夫か!現状かなり熱いが・・・まぁオビ=ワンも無理そうなら出るだろ・・・!>
俺は、まだ出るわけにはいかない!俺は、何がなんでもビールをド級の旨さにして飲まきゃならない・・・!
だから出るわけには・・・!
絶対に・・・絶対に出るわけにはいかない・・・!
ここで出たら、アルチューやないっ・・・!
20分が経過・・・!
<依然として、足、くるぶし辺りが強烈に脈を打っている・・・!>
竜一の頭皮に開いた毛穴から、汗がジワリジワリと溢れ出す・・・!
<あぁ!それにしても熱い!肩からコタツに入っているような感覚!熱い!足が焼けているみたいに熱い・・・!>
って・・・!
そのとき竜一!気付く・・・!
<あんまりやったら、もしかして低温ヤケドとかになっちゃうんじゃないか・・・!>
聞こえてきた、砂の女神の声・・・!
"そやでぇ!アンタええ加減にせんと、大ヤケドするでぇっ・・・!"
オビ=ワンに声をかける・・・!
「そろそろ出るかえ・・・?」
「お・・・おおぅ・・・!」
結局、出たのは25分が経過した頃・・・!
「こりゃまっこと、しょう、ぬくもったのぉ・・・!」(*これは本当に温まったよ、の意)
土佐弁全開なオビ=ワン・・・!
周りには外国人観光客も多く、韓国語や中国語!さらには関西弁や九州の言葉も飛び交っているという、ワールドワイドな状況・・・!
その後・・・!
砂むし会館に戻り、体にどっさり付いた砂を洗い流して、館内の温泉に入る・・・!
<砂風呂で体の芯を温めた状態で、湯が張られた普通の温泉に入ると、体の芯も表面も完全に温まって、温まりまくって頭がクラクラする・・・>
内風呂の一角にはサウナがあるが、さすがに誰も入っていない・・・!
(「金婚・鹿児島放浪記!」第8話・終。9話につづく・・・!)
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◆ 砂むし会館 砂楽
(鹿児島県指宿市湯の浜5丁目25−18)
開館時間/8:30~20:30(21:00閉館) *土日・祝日を除いて正午~午後1時までは、清掃等のため受付休止。
休館日/7月・12月の第2週の火曜日
駐車場/有
料金/中学生以上1080円、小学生以下590円