旬が8月下旬~9月下旬と短く、幻の魚と呼ばれる「メジカの新子(しんこ)」。
「メジカ」とは、ソウダガツオのことで、生後1年未満の幼魚を「新子」と呼ぶ。
鮮度の落ちが早いため、旬の時季がきても、どこでも食べられる魚ではない。まさに「幻の魚」である。
メジカの新子のメッカ・高知でも、たとえば20年前には、漁師町でのみ食べられる知る人ぞ知る魚だったはずが、近年インターネットの宣伝力も手伝って、県外からわざわざ食べにくる人もいるほどの人気魚となっている。
今年は潮の関係で、例年より水揚げが早かったらしく、私も7月中旬には、高知市の名店『英屋』さんで、今シーズン初のメジカの新子をいただいていた。
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そんな高知の中でも、メジカの新子が水揚げされることで有名なのは、須崎市、中土佐町あたり。
夏の日差しも徐々に和らぎ、今年もメジカの新子がとれはじめたよ、とのニュースを耳にし始めた、8月下旬のある日。私は突然思い立った。
「ドライブがてら、新子食べに行ってみようか」
そそくさと支度をして、1時間後には車に乗り込み、中土佐町は久礼にある『久礼大正町市場(くれたいしょうまちいちば)』を目指していた。
中土佐町「久礼大正町市場」でメジカの新子を食べる。
夏休み、週末という条件も重なって、たくさんの人でごった返す『久礼大正町市場』。
8月の暑さと、人々の熱気。
「暑いなぁ……」
額ににじむ汗をぬぐいながら、両脇に店が建ち並ぶ通路を歩いていると、市場のおばちゃんが「暑いろう」と、ウチワをくれた。
「ああ、すんません……」
おばちゃんがくれたウチワを扇ぎながら、商店の魚を物色。するとそのとき、どこかで見た人が向こう側から歩いてくる。
「あらあら……」
イケハヤさん!
(*画像はイメージです)
なんと、それは東京から高知に移住されたプロブロガーのイケダハヤトさんだった。
(イケダハヤトさんのブログ:まだ東京で消耗してるの?)
「さすがやなぁ。オーラ出てるわ……」
波動で周りの魚たちを吹き飛ばしながら歩く姿は、漫画「ドラゴンボール」のフリーザ最終形態みたいだった。
新子に誘われて、大正町市場に現れるブロガーたち。
「おおおおお、イケハヤさぁん!」なんて言っていると、「あんた!はよう魚選んで!どれにするが!」と混雑の中で魚屋のおばちゃんをようやく呼び止めた妻に叱られ、あまりお話しできずに、イケダハヤトさん捕獲に失敗する。
今回は、そのイケダハヤトさんも記事にされている魚屋さんで、メジカの新子を食べる。
「田中鮮魚店」買った魚をその場で、すぐさま「刺身」にしてくれる魚屋さん。
『久礼大正町市場』正面から入って一番奥にある魚屋さん『田中鮮魚店』。
『田中鮮魚店』で魚を購入すると、その場で刺身にしてくれたり、干物は焼いてくれたりする。それを向かいの食堂で、すぐさま食べられる。
なんという……
画期的システム!
食堂の前に「予約表」があるから、それに名前を書いておき、『田中鮮魚店』で食べる魚を購入する。
▲ 大きなカツオが丸々1本売られていたりするが、これはさすがに一人や二人では食べきれない大ボリュームになりそう……。
目当ての「メジカの新子」も並べられていて、無事に購入。
久礼大正町市場「田中鮮魚店」で刺し盛りランチ。
▲ 食堂では、250円で「ごはん」と「味噌汁」、お新香も出してくれる。
とにかくこの日の『久礼大正町市場』はすごい人の数で、食堂は満席状態。
数十分待っていると、ようやく店のおばちゃんが「中いっぱいやき、外の席でもかまんかねぇ」と声をかけてくれる。
「外の席とか面白いなぁ」と竜一。通路に設けられた席で食べることにした。
『田中鮮魚店』のお兄さんが持ってきてくれた皿を見て、ビックリ。
なにこれ!すごい!
豪華!刺し盛りが完成していた……!
▲ ちなみに注文した魚は、このイサギ(1,200円)と、メジカの新子(500円)
合計1,700円で、こんなことになるとは!
「ええお料理さんに行ってみてくださいよ!これだけ盛って1,700円では出してくれませんよ!」
▲ メジカの新子はサービスで、新子には付きものの「ブシュカン」を添えてくれている。
「イサギって、なんかヒョロヒョロの魚やなぁ」と舐めて注文して、刺身にしてもらったら……
どんだ、断崖絶壁!
これにはツッコミを入れざるを得ない。
マッターホルンかっ!
人それぞれ好みはあるだろうけれど、私が思うにメジカの新子は、ブシュカンを上品に少しだけ…ではなく、豪快にたくさんしぼって、醤油をつけて食べるとうまい。
ブシュカンは酸味がそれほど強くないため、さわやかさだけがメジカの新子にのる。
「メジカはまだ脂がのりきっている、という感じではないけれど、おいしい。むしろ脂がのっているのはイサギのほうで、こっちはモチモチの食感!」
食堂で出してくれた「味噌汁」も、魚の出汁が効いていておいしかった。
ごはん+味噌汁+刺身。
幸せしか感じない、最強の和定食である。
「田中鮮魚店」の所在地、営業時間、定休日、駐車場。
所在地/高知県高岡郡中土佐町久礼6382(地図)
営業時間/9:00~17:00
定休日/第4火曜日(祝日の場合は前後の火曜日が休み)、ほか数日定休日あり。詳細はこちらのサイトにて。
駐車場/有(久礼大正町市場の駐車場)
一人行きやすさ/○ カウンター席有り。
子連れ行きやすさ/○ 座敷なしも、外の席はベビーカーに座らせたまま飲食可能。