高知を経ったのは午前中だった。
圧倒的な速度で高速道路をひた走るバス。
行き先は兵庫県。
「阪神甲子園球場」
今年もまたプロ野球のシーズンが始まったのだ。
「中日ドラゴンズ」の大ファンである私は、当然今年も「阪神タイガース」の応援をしに行く。
昨年は二度「甲子園」を目指し、
一度目は球場内に入って生ビールまで飲みながら、雨天中止。
長靴を履けば試合は出来ていたはずだし、気合と根性さえあればやれたはずである。
それにも関わらずの中止で、今思い出してもまったく納得がいかない。
二度目は、定期的に行われている「甲子園ツアー」の中にあって、
滅多に降らない雨が、私が初めて行った回に限って降ったために、
「竜一・雨男疑惑」が囁かれる中、バッチリ開催されてバッチリ阪神勝利。
見事に生まれながらの「晴れ男」であると同時に、
「勝ち運」を持った男であることを証明してみせた。
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さて今回も親戚の"こうてん氏"と目指す甲子園。
先日から「パシフィック・リーグ」との交流戦が始まっているということで、
対戦相手は、「楽天市場」でお馴染みの「楽天イーグルス」
ナイター試合である。
とりあえず「吉野川ハイウェイオアシス」内にある「みのだ亭」にて、
初回にも食べた「ぶっかけうどん」をいただく。
以前は、おそらく徳島名産の「スダチ」だと思われる緑色の柑橘類が入っていたのだけれど、
今回は、誰が見ても「レモン」だと思うであろう黄色の柑橘類が入っていた。
<スダチはどうしたのだ!吉野川ハイウェイオアシス!
スダチはスダチだけに巣立ったのかっ・・・!>
茹で置きで少しダレている感じだったけれど、
毎度、食券を売る券売機の前に長蛇の列が出来ている
人気サービスエリアの荒波に揉まれているだけあって、やっぱり麺の素性は悪くない。
券売機には"大盛"や"特盛"の表記は無かったが、
口頭で直接伝えれば可能だったのだろうか・・・。
再度バスは、ひた走る。
車内で流されていた「藤川球児」のドキュメンタリー映像。
それに見入っていて「ハッ」と気が付くと、窓の外には瀬戸内海が広がっていた。
<高速道路、速いっ・・・!>
「淡路サービスエリア」で休憩をしてから、約1時間。
いよいよ高校球児の憧れであり、虎の聖地である「甲子園」の駐車場に着く。
駐車場から球場までが、また遠い。
数キロにも及ぶこの距離を歩かせることで、
興奮する虎党の気持ちをあらかじめ静めようという狙いが、運営側にあるとしか思えないくらいに遠い。
そして甲子園まで辿り付いたときには、
すっかり疲れ果てて、ただただ生ビールで一服したかった。
甲子園の外周を外野側から内野側に向けて歩いていると、オジサンがいた。
どこかで見たオジサンだったけれど、気にせず通り過ぎようとしていると、
一緒に居たこうてん氏が足を止め、川籐がどうとか言い始める。
"川籐"という名前には、私もピンと来た。
元・阪神タイガースの名選手である。
しかもよくよく見ると、目の前にいるオジサンは川籐、
"川籐幸三"さん本人ではないか。
<おおおっ・・・川籐っ・・・!
有名人を見るのは、去年甲子園に来た際、
スタンドから見たマット・マートン以来だ・・・!>
「有名でも無名でも同じ人間だろ?」という大変にドライな感覚の持ち主で、
有名人にまったく怯まない私は、もちろん川籐幸三にも驚かない・・・こともなかった。
横にいた人は誰かと"こうてん氏"に聞くと、
同じく、元・阪神タイガースの「亀山努」であると言う。
「へぇー」などと頷きながら、
<"さまぁ~ず・大竹"かと思った・・・!>
という言葉が喉の奥まで出かかったが、止めた。
二人はここで震災の募金活動をされているようで、
こうてん氏もバッチリ募金して、「亀山と握手した!」と喜んでいた。
そのすぐ側では、阪神と楽天のマスコットたちがパフォーマンスをしていた。
可愛い。これは撮影しておかなければならない。
人垣を掻き分けるまでもなく、2メーターに及ぶ長身を活かして上から撮る。
トラッキーもさることながら、ラッキーの腕がすごい。ムキムキである。
そんなマスコットたちよりも可愛らしいと評判の私は、
三度目にして初めて見る甲子園の正面前で記念撮影。
誰が見ても俺は"虎キチ"・・・!
(後編へ続く・・・!)
『ああ、憧れの甲子園 鷲の章 後編/球児のうどん』