『エピソード2を読む』 『エピソード3を読む』
「回転寿司なんて何年ぶりだろう・・・!」
私は滅多に寿司を食べに行くことが無い。
理由は、単純。
うどんじゃないから。
寿司を食べに行く胃袋があったら、うどん・・・!
隙あらば・・・うどんだろうがっ・・・!
そう思ってしまうのである。
さらに・・・。
うどんの気分じゃなかったら・・・ラーメン・・・!
何はともあれ・・・麺だろうがっ・・・!
どうしても、そう思ってしまうのである。
竜一、基本的に、
思考回路が普通じゃない。
そんな麺中毒も、
この情報には、ときめいた。
「高知市内に新しく出来たスシローとかいう回転寿司屋では、
寿司が一皿105円で食べられるらしい」
なにっ・・・!!
自分の目が、血走るのを感じた。
湧き上がる、ドス黒い感情・・・。
今日ばかりは・・・麺を自重して・・・
寿司に行こう・・・!ふっふっふ・・・。
『スシロー 高知潮江店』
(潮江=うしおえ。隣にたも屋の潮江店が・・・!)
店に着いたのは、
平日の18時30分を過ぎた頃だった。
「美味しい物は光る」の法則で、
発光し過ぎていて、見えない。
お客さん、店員さん、ごった返す店内。
入ってすぐ左側に、椅子が並べられた待合席があった。
だが、そこもたくさんのお客さんで、空席が無い。
そして、店に入っても、
誰も私に反応してくれない。
どうすれば・・・いいんだ・・・!
俺の存在感・・・薄過ぎたみたい・・・!
そんな風に疑心暗記していると、
私の一寸先に入ったお客さんが、
銀行のATMのような機械を触って何かしていた。
正解は、その近代文明かっ・・・!
先客の後に、機械の前に立ってみると、
機械の液晶には、『15分待ち』だという旨の表示がされていた。
「なぜ15分待ちだと言い切れる・・・!」
そうも思ったけれど、
きっと近代的なシステムで分かるのだろう。
タッチパネルを適当に触ってみる。
すると、『番号券』なるものが発券された。
この券を持って待っていたらいいのか・・・。
運良く空いた椅子に、座って待つ。
家族連れが多い待合席。
待ち人は、数字が小さい順に次々と呼ばれて、
店内奥に消えて行く。
普段、自分は待つことが苦手な高知県民の一人だと思っていたけれど、
待ってみると、意外と待てるものだ。
目安の時間を若干過ぎて、
発券してから20分ほどが経った頃。
ついに、私が持っている券の番号が呼ばれた。
「197番でお待ちのお客様~」
女性店員さんのその声に、
なにかに当選した気分になってしまった竜一。
大衆の中で・・・!
目をキラキラとさせながら、発声・・・!
「来たっ・・・!
俺の番号・・・呼ばれたでぇっ・・・!」
とりあえず、ガリをガリガリと食す。
甘酢の甘さと、生姜の辛さが絶妙調和。
もし生姜農家じゃなかったとしても、
私はこう言うだろう。
ガリ=正義であるとっ・・・!
座ったカウンター席の前には、タッチパネルがあった。
どうやら、注文はこれで行うようだ。
注文するのに・・・発声しなくていいなんて・・・!
なんという画期的システム・・・!
俺が誇る・・・蚊の鳴き声ほどの声量でも・・・!
注文し放題だということかっ・・・!
アルチューで、プルプルと震える手を制御しながら、
恐る恐るタッチパネルに触る。
すると、エビだけでも、
出るわ出るわ、大量の種類。
エビ、甘エビ、生エビ、赤エビ、エビチーズetc...
優柔不断に、これはキツイ。
竜一の心に、迷いが生じていた。
決められねぇ・・・!
注文する寿司で・・・その後の運命が分かれるんだぜ・・・!?
そんな簡単に決められるかよ・・・!
己の胃袋の未来を賭けて、
竜一は猛烈に悩みながら、
慎重に、慎重に、選択した。
(エピソード2へ続く)
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1位で全裸。♪~(´ε` )