『第4話-1を読む』
嫁の『えびの天ぷらうどん』
お母さんの『釜揚げうどん』
バシバシ撮影していく
ブロガー婿、竜一。
だがっ!
お父さんの『ざる蕎麦』
それだけは撮れずっ…!
言えばきっと撮らさせてくれる…!
でもダメ……
撮っちゃダメな気がする…
撮ったら最後………
越えちゃいそうな気がするんだ…
峠における………
天城峠みたいなものをさぁ…!!
紆余曲折ありながらも…
底に溜まったぶっかけ出汁を絡め…
GO!山かけ!GO!
すっごい粘ってるよ!
すっごい粘ってるって!
引き締まった冷たい麺。
ドロドロの山かけと共に
掻き込める雰囲気で、
好気配っ…!
まだまだ終われない……!
俺が最初に頼もうと思っていた
『えびの天ぷらうどん』を嫁から頂戴せねば…!
「ご…ごめん……
ひ…ひひ…一口だけ……」
『えびの天ぷらうどん』を一口貰う。
「ふんふん……!
冷たい麺とまた食感が全然違うね!」
今度は逆に、
嫁に『山かけ』を一口あげる。
「あっ!ホントやー!」
嫁は目を丸くした。
お母さんの『釜揚げ』も貰う。
何気なく食べたそのとき。
衝撃、走る。
「おっ……」
一瞬、黙る。
「小麦の香りがすごいする…」
香り、
舌触り、
食感、
喉越し。
抜群っ…!
「おいひー!」
お母さんから貰った麺を咥えたまま、
そう言う嫁に竜一。
「同じ店の同じ麺でも、
温、冷、釜揚げでまた違う。
これがうどんの世界の奥の深さ、なんよね」
わりと通っぽく講釈を垂れてみたが、
嫁は「おいひーおいひー!」と言うばかりで、
ほとんど聞いていないようだった…。
(つづく)
『第5話-1を読む』
◆ よこいうどん店
(香川県高松市新田町910‐2)
営業時間/10:30~17:00
定休日/木曜日
営業形態/セルフ
駐車場/15台