徳島ラーメンを食べると決心してからが、また迷った。
決心が揺らいだのではなく、道に迷ったのだ。
うどんならば、数十キロ離れた位置からでも出汁の香りで店の位置を特定できるため、
道に迷うなどということは考えられないことだが、
ラーメンとなると、本来の専門分野では無いためか、香りを上手く嗅げずに迷いまくった。
同じ道を何度も通ってしまう。
嗅覚には定評のある戌年の私が、だ。
ついには自力での到着を諦めて、
道を覚えなくなるからと意図的に使わないようにしていた、スマホのナビアプリを起動させた。
すると、目指す徳島ラーメンの店は動物園の北にあるのに、
実際には、西へ向けて走っていると判明した。
すぐさまナビアプリを頼りに正しい方角へ向き直したが、
大きく時間を失ってしまった。
通ってきた道は確実に覚えられたけれど、代償も大きかった。
使える文明の利器は、上手に使うべきかとも考えた。
日々の生業にしている農業だって、多くを機械によって行っているのだから。
ナビアプリで"とくしま動物園から所要時間39分"と出た、
実質30分ほどで着けるはずの『徳島ラーメン田村』に到着したときには14時を回っていた。
とくしま動物園をあとにしてから、ゆうに一時間強である。
日帰りの旅では、特に時間の使い方が重要になってくるのに、
自分は何をしているのだと自己嫌悪に陥ったが、営業時間にいわゆる"アイドルタイム"が無くて、
11時から21時まで、通しで営業しているのが救いだった。
昼食時はとっくに過ぎたはずの田村の店内の席は、あらかた埋まっていた。
数少ない空席に腰を下ろして、女将さんらしき女性に注文。
『中華そば(バラ肉+チャーシュー入り)大・生卵トッピング』
暫しの後に現れたソレを見て、私は息を呑んだ。
太陽としか思えない生卵を中心としてバラ肉、チャーシュー、
ネギやメンマが配置された様は、まるで銀河。
銀河系徳島ラーメン・・・!
本場・徳島で食べる徳島ラーメンは初めてだから、
具を乗せまくらないで、基本の「中華そば」にしておくべきかとも思えたが、
最終的には、"基本"よりも"お肉食べたい"が勝り、
お肉増量の「バラ肉+チャーシュー入り」をオーダー。
それが良かった。
褐色の銀河の上には、山盛りのお肉。
そして、舌の上でとろけるトロトロチャーシュー。
私は肉食系ではなく、
麺食系男子だが、それでも歓喜。
「お肉いっぱい・・・!
ありがたいっ・・・!」
にんにくが効いた超濃厚スープの圧倒的攻撃力を魅せ付けられ、
食べ終わったときには、5月だったというのに汗だく。
会計時に見た店主さんが、すごく良い顔をされていたのが印象的だった。
職人の顔だった。
(あと一回つづく・・・!)
『カピバラに逢いに徳島へ ~納豆の香りと共に~』 → 『192号線は麺だらけ』 → 『とくしま動物園 EP1/鳥に接近』
→ 『とくしま動物園 EP2/おねむの時間』 → 『とくしま動物園 EP3/待望のカピバラさん』 → 『動物園から鉄火場へ』
→ 「中華そば 田村」 → 『あすたむらんど徳島 & 巨大たらい』
◆ 中華そば 田村
(徳島県板野郡北島町鯛浜西中野86-8)
営業時間/11時~21時
定休日/木曜日
駐車場/有
(中華そば[バラ肉+チャーシュー入り]大900円、中華そば大550円など、生卵50円)
『中華そば田村』の場所はココ・・・!