<この近くにうどん屋は……>
豊年池ダムの駐車場に停めた車中で検索した。大体香川県はどこにいても近くにうどん屋がある。
近くにうどん屋がない、なんてことは、ありえない。
案の定、数軒のうどん屋が反応。その中に『ホルモンうどん』なるうどんを出す店を見つける。
<ホルモンが乗ったうどん…!カスうどんみたいな…?>
私は内臓が好きだ…。
オーダーストップ時間にオンタイムで到着した、観音寺市『七宝亭』
「まだ…だ…大丈夫ですか?」
入ってすぐ、対応してくれた女将さん(?)に訊く。大丈夫だと答えてくれる。
<間一髪……やったぁ……!>
意気揚々と入ったが……。
<あれ……?ホルモンうどん……ない…?>
メニューのどこを探しても、『ホルモンうどん』などない。
<一応訊いてみる、そういう作戦もある。しかしコミュ障にそれはハードルが高すぎる……!!>
諦めよう…。きっと…俺が得た情報が古すぎて…もうやってないんだ…。これ以上粘ってもなんにもならない事柄は、諦めることも重要だ…。諦めが肝心と言うし……。
気を取り直して『七宝亭ぶっかけ』。店の名を冠したメニュー。選べた麺および出汁の『温』『冷』は、『温』…!
その正体は……
各種天ぷらに肉まで乗る……!
ごごごごごご……………
豪華ぶっかけうどんっ……!!!
さあ!『渡辺篤史の建もの探訪』風に…
目を細め……!言い放とう……!
<この器の赤さ…!美しい曲線……!素晴らしいですねぇ……>
さらに『国産鶏唐ぶっかけ』
<七宝亭は唐揚げが美味しい…。そんな話も聞いた…>
だから頼んだっ…!!
こちらは冷たい出汁、冷たい麺、『冷』にて注文。
<違う…違う…!温と冷で…北海道と沖縄くらい違うぞぉ…!!>
麺上、大きな唐揚げが三個。しかも熱々…!
対照的に、キュッと締まった冷たい麺。
<温で注文した七宝亭ぶっかけの麺と、元々は同一の麺を使っているはずなのに食感がまったく違う…!>
常々思うことだけれど、同じ店の同じうどんでも、温かい麺と冷たい麺、釜揚げ麺の三種類で見せる表情が違うのだ。
一人の人間にも多面性がある、それと同様のものを、うどんにも感じる。
もはや、うどんは人間なのですよ…。