ランチどきの高知市帯屋町アーケード街をブラブラ。
帯屋町をブラブラと歩く行為を、高知では昔からこう呼ぶ。
「帯ブラ」
そのまま略しただけ、に思えるけれど、高知の"街っ子"で知らない人はいないフレーズである。
歩くとカロリーを消費するからだろうか。帯ブラすると、決まってお腹がすく。
昼はマダム、夜は呑兵衛の街だったのが徐々に変わりつつある。
ああ、ラーメン食べたい……。
高知市帯屋町の中華そば 土州屋
![土州屋の外観](https://syoga-udon.com/wp-content/uploads/2019/01/0202f5962ef7269da3333eadde61f2b9.jpg)
中華そば 土州屋(どしゅうや)
土州と書いて、"どしゅう"と読む土州屋さん。
「土州」とは、土佐の別称で、昔の高知県の呼称である。
手前にカウンター席が7席ほど、奥に4人がけのテーブル席が2卓ある、縦に細長い「土州屋」の店内。
奥のテーブル席に案内していただいた。
中華そば 土州屋のメニュー
ラインナップが魅力的で迷う。食べたいものしかない……。
看板メニューの「中華そば」を筆頭に、様々なメニューが並ぶ。
いりこ出汁そば!
いりこ出汁に、讃岐うどんを連想。
うどん野郎の血が騒ぐが……。
ここは看板メニューの「中華そば」でいこう。
「すいません、特製中華そばを……」
土州屋 特製中華そば
![土州屋 特製中華そば](https://syoga-udon.com/wp-content/uploads/2019/01/fullsizeoutput_c40.jpeg)
特製中華そば(900円)
■ 特製中華そば
土州屋の看板メニュー「中華そば」のチャーシューと煮玉子が増量されたメニューで、豪勢な具材と麺、スープのコラボレーションが楽しめる。
何の魚だろう……。
魚は、いろいろあって難しいんだよな。
文字にしても、魚偏が付く漢字がいくつあることか……。
うーん、何の魚だろう……。
考察しながら食べてみる。
食べると鼻に抜ける、魚の香り。
鼻が魚になった。
これは……。
カツオ……!?
たぶんカツオ出汁だ……。
メニューで見かけた「いりこ出汁そば」といい、カツオとイリコで、カツオ出汁が多い高知うどんと、イリコ出汁の讃岐うどんを連想してしまう。
うどんを彷彿とさせる出汁の組み合わせから察するに、土州屋のご主人はうどんもお好きなのだろうか。
それとも、偶然にうどん的な出汁の組み合わせになっているのか。
わからない………。
思えば世の中はわからないことだらけだ。
人の心の奥底は、インターネットにも書いていない。
- 麺を食べておいて、チャーシューに以降
肉厚、ぷるんぷるんのチャーシュー。
チャーシューは絶壁を思わせる厚切りなのに、とんでもなくやわらかい。
もはや………
チャーシューは、飲みものだ。
食べているあいだ中、ブワァッと香り続ける魚介出汁。
ほんのり甘くて、コクがある。
魚介の香りは強いのに、エグみがなくて後味がいい。
エグなし、コクあり。
ラーメンでも、うどんでも、こういう魚介スープがおいしいんだ。
「ふぅ……」
それにしてもメニューにある「どろそば」ってのが気になる……。
「どろそば」ってなんだろう。
ほかのお店では見たことがないメニューだ。
ここでお店のかたに「どろそば」の仕様を聞いても仕方がない。
何事も"聞いただけの知識"というのは、大したものではない。
聞く必要はない、注文してみれば答えがわかる。
「すいません、どろそばを!」
土州屋 どろそば
![土州屋 どろそば](https://syoga-udon.com/wp-content/uploads/2019/01/b57c10e376166edfa824c4e897e73008.jpg)
どろそば(850円)
■ どろそば
スープにものすごい"とろみ"があるそば。具材と絡めて食べる。
- そんじょそこらのラーメンを想定していると、ひるむ外観
![土州屋 どろそば](https://syoga-udon.com/wp-content/uploads/2019/01/db8ab6ba5c345898ad0ce674741eaf76.jpg)
どろそばは、具材たっぷり!
ほとんど山ですなぁ。
チャーシューとモヤシの山……!
![土州屋 どろそばの刻みチャーシュー](https://syoga-udon.com/wp-content/uploads/2019/01/5f3c86bfb72f7f855d59d58e00c854b0.jpg)
どろそばには、刻みチャーシューが散りばめられている
圧倒的、刻みチャーシュー量。
具材に隠れて麺が見えない。
うぐっ……
麺が取り出せない。
ものすごく重い……。
麺が重い……。
箸が折れそうだ……。
スープが強い粘力で、麺を器に引き戻す。
その声は誰にも聞こえないかもしれない。しかし私には聞こえる。
スープが、麺に言っているのだ。
愛しの麺を一人で行かせてなるものか、俺も付いていくぞ。
![土州屋 どろそばの粘力が高いスープ](https://syoga-udon.com/wp-content/uploads/2019/01/fdc781fa55cd14e85f025787a117ebdd.jpg)
どろそばの粘力高いスープ
沼っ……!
底なし沼に、麺が入っているみたいな感覚。
どろそばスープの粘力は、天下一品の"こってり"よりも上に思える……。
かつてない粘りの沼で、私は戦っていた……。
麺にドロスープが絡まる。
麺を食べてスープを飲んだり、スープを飲んで麺を食べるもの。
それが通常のラーメンだが……。
どろそばの場合は、麺を食べると自動的にスープが付いてくる。
麺は、スープを連れてくるエレベーターだ。
器に展開される世界、
スープのすべてを麺が絡め取る。
「うぅぅ、温まる……」
麺が熱いスープをドンドン連れてくるものだから、体がものすごく温まる。
季節は冬。
12月なのに額に汗がにじむほどの灼熱だ。
いや、すでに蒸気が出ているのかもしれない。
蒸気機関車だったら走り出してしまうぞ、この状況!
どろそばを食べた、私は銀河鉄道999。
「乗ってください、メーテルさん」
「はい、わかりました。銀河鉄道・竜一さん」
土州屋の店先から、飛び立て宇宙へ。
共に行こう………。
銀河の果てまで……!
- どろそばのスープは、中華そばと同じように魚介出汁
魚粉が器の底に沈んでいる感じがする。よく混ぜて食べる必要がある。こういう局面で重要なのは「天地返し」するイメージだ。
「これはお腹が張る……」
麺とスープが同時にくるものだから、満腹感がとんでもない。
- 食べ終えた
どろそばが入っていた器に、スープはほとんど残っていない。
恐るべし、どろそば自動昇降機。
麺にスープが絡まりまくって、気がつけば麺はほぼ全量のドロスープを、知らぬ間に私の体内に送り込んでしまっていた。
初めての土州屋で食べるなら、間違いなく正統派の「中華そば」がいい。
だが……。
2回目以降の来店時に食べたい土州屋独特のメニュー「どろそば」は、ほかにないからこそ、食べると世界が広がる中華そばだ。
銀河のように。
中華そば 土州屋の店舗情報
所在地 | 高知県高知市帯屋町2-1-29(地図) |
営業時間 | 10:00〜20:00 |
定休日 | 水曜日 |
駐車場 | 無 |
店内 | ■カウンター席/有 ■テーブル席/有 ■座敷/無 |