(店舗画像は使い回しです!) 雨が降ってはいるが、傘を開くのが面倒なほどの雨だった。草色の暖簾をくぐって戸を引いた。 初めてのときは胸が思春期の女子みたいにドキドキした。けれども、いまではすっかり仲の良い友達の家みたいなものだ。 それでも少し恥ずかしい。だって私はシラフで、しかも可愛いコミュ障なのだから。 玄関で靴を脱いで、マスターに見つからないようにコソコソと中に入る。 テーブル席に腰を下ろして、日替り定食を注文した。まだ見つかっていない。たぶん。 厨房のほうをチラリと見た。奥にマスターがいる。大丈夫だ ...